PRIMARY DENTITION
正常な骨格の発育・永久歯の歯並び・咬み合わせを獲得するために乳歯のうちから口腔組織を整える必要があります。以下のような問題点は早めに取り除いておきます。
舌の裏のスジが短い、舌の先までくっ付いている
舌の裏のスジのことを舌小帯(ぜつしょうたい)と言います。舌小帯が極端に短い場合、舌を上に持ち上げたり左右に動かすのが難しく授乳に影響を及ぼし、アゴの発育不良につながります。将来的に発音が不明瞭になります。歯科口腔外科などでの小手術が必要になる場合が有ります。
上の前歯の真ん中の隙間
上くちびるからつながったスジ(上唇小帯:じょうしんしょうたい)が太く前歯の間に入り込み歯の裏までつながっていて隙間が空いている場合、自然にその隙間が閉じることはなく永久歯に生え替わっても隙間が空いたままになることがあり、歯科口腔外科などでの小手術が必要になる場合が有ります。
テレビを見ている時など
ボーっと口を開け舌の先が下の前歯の後ろに見えている。鼻が詰まっていなくても口呼吸(くちこきゅうorこうこきゅう)が習慣化している。
いつも鼻が詰まっている
鼻詰まりが長引くと口呼吸が習慣化してしまい、上アゴに接しているべき舌が下に下がったままになり(低位舌:ていいぜつ)、骨格的には下顎前突でなくても下の前歯を押し出し受け口の状態になってしまうことも有ります。アレルギー性鼻炎やアトピーによる鼻炎の場合は改善が難しいですが耳鼻科に辛抱強く通って鼻で呼吸する習慣をつけましょう 。
指しゃぶりで指にタコができている
指にタコができるほどの指しゃぶりがあると指を吸う力で上の歯列の横幅が狭くなり前歯が前方に飛び出すように傾いたり、奥歯は咬み合っていても前歯は咬み合わずに隙間が空くようになります(開咬:かいこう)。指しゃぶりをしなくなったとしても指の代わりに舌を上下の前歯の隙間に入れるようになるので自然に治ることはありません。治療するのも非常に難しく、治療後の安定も悪い場合が多いです。おしゃぶりの長期間の使用も同様です。
横にずらして咬んでいる
上アゴの歯列の横幅が狭い場合に起こりやすい咬み癖で、咬み合わせが不安な為、右ばっかりで咬んでいたりその逆だったり、片咬みはアゴの変形につながります。交叉咬合(こうさこうごう)と言います。上アゴを横幅を広げる必要があります。
下の前歯が上の前歯の前に咬みこんでいる
上下の前歯(上下で4本or8本)しか生えていない場合には下の前歯が上の前歯の前に咬みこむことが良くありますが、奥の乳臼歯が生えてくるとそのような状態は減ってきます。この時期に骨格に原因がある受け口(下顎前突)は少ないのですが、低位舌の場合は舌で下の前歯が押し出され上の前歯の前に咬みこんでしまい、特に前歯の咬み合わせが深くなると矯正治療をするのも難しくなります。
MIXED DENTITION
乳歯と永久歯が混在している時期です。永久歯が出て来るのが遅い場合、レントゲン撮影してみて発見される問題点がたくさんあります。乳歯から永久歯に上手く生え替わらせてあげると重症度が軽減されます。
乳歯の下の前歯が上の前歯の前に咬みこんでいる
上の前歯が永久歯に生え替わっても下の前歯が上の前歯の前に咬みこんでいる場合、上の前歯は下の前歯に押さえつけられ内側に方向が変わり、下の前歯は上の前歯に押されるように前に傾きます。前歯の咬み合わせが深くなればなるほど矯正治療が難しくなります。
6歳臼歯が乳歯の後ろに引っかかっている
6歳臼歯(第一大臼歯)が乳歯(第二乳臼歯)の後ろに引っかかっているのが見えている場合も有りますが、レントゲンを撮ってみて初めて分かる場合が多いです。片方が出てきているのにもう一方がなかなか出てこない時はレントゲンを撮ってみるべきです。
上の前歯の真ん中の隙間
上唇小帯による前歯の隙間が乳歯列期に改善されていない場合は永久歯に生え替わっても前歯の真ん中に隙間が空いた状態のままになることも有ります。その場合やはり歯科口腔外科での小手術が必要です。またまれに上の前歯の真ん中に余分な歯が骨の中に埋まっている場合も有ります。上顎正中埋伏過剰歯(じょうがくせちゅうまいふくかじょうし)と言います。埋まっている位置にもよりますが、歯科口腔外科での小手術が必要です。
乳歯の下の永久歯の位置がずれている
永久歯の位置がずれていると乳歯の歯根が残ってしまい乳歯が抜ける前に横から永久歯が出てきてしまうことがあります。
上顎側切歯の萌出スペース不足
上の前歯の二番目の歯の隙間がすごく狭い場合、二番目の歯・側切歯(そくせっし)が既に骨の中で内側にずれていたり、45~90度捻じれていたりすることがあります。
第二小臼歯先天欠如(せんてんけつじょ)
第二乳臼歯の下に生え替わるはずの永久歯の第二小臼歯がない場合があります。他の部位より多く見られます。乳歯の下に永久歯がない場合はその乳歯の歯根は30歳過ぎても残っている場合も有りますが、早く抜けてしまえばその後ろの6歳臼歯が前に傾き咬み合わせが大きくずれることも有ります。骨の中のことなのでレントゲンでの確認が必要です。
上顎側切歯に多い矮小歯(わいしょうし)
上の前歯の二番目に小さな歯が出て来ることがあります。矮小歯と言います。場合によっては上下の咬み合わせが奥までずれてしまうこともあります。
PERMANENT DENTITION
生え替わった永久歯の大きさとアゴの大きさの不調和によって永久歯にねじれや傾きが生じ、不良習癖や舌癖が加わると、より複雑な不正咬合が発現します。
不正咬合の種類
上下の6歳臼歯までがきれいに並んで咬み合っていてもその後ろに出て来る12歳臼歯の位置がずれているだけで咬み合わせ全体がずれているのと同じことになってしまうので注意が必要です。
上顎第二大臼歯・シザースバイト
上の第二大臼歯は外側(頬っぺた側)にはみ出して萌出しやすく下の第二大臼歯とすれ違いの咬み合わせ(シザースバイト)になるとアゴの関節に異常を起こしやすくなります。
下顎第二大臼歯 近心傾斜
下の12歳臼歯(第二大臼歯)は前方に傾いて6歳臼歯に引っかかって萌出しにくくなることが有ります。時には真横を向いてしまう場合が有り上の第二大臼歯と咬み合わなくなります。
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不正咬合の種類 |
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乱ぐい歯(叢生)
アゴに対して歯が大き過ぎて全ての歯が並びきれずに重なり合ったり飛び出したり、上下の歯が上手くかみ合わさらないガタガタの状態。 -
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出っ歯(上顎前突)
上の前歯と上アゴが前方に飛び出した状態。上の唇がめくれあがっていつも歯が見えている。下のアゴが小さ過ぎる場合もある。
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受け口(反対咬合)
下のアゴが長く下の前歯が上の前歯より前に咬みこんだ状態。上アゴの前方への成長が少ない場合もある。 -
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ディープバイト(過蓋咬合)
上の前歯が下の前歯に深くかぶさり下の歯が見えない状態。下アゴの動きを妨げてアゴの関節に問題を起こす事もある。 -
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オープンバイト(開咬)
奥歯を咬み合わせても上下の前歯が咬み合わず隙間があいている状態。ほとんどの場合その隙間に舌を突っ込んでいる。 -
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上下顎前突
上下の歯と骨格が前方に突出した状態。口元が大きく前方に膨らんでいる。
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交叉咬合
上アゴの横幅が狭くなっているか、下あごの横幅が広がっていて下アゴを横にずらして咬まないと安定して咬めない状態。 -
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すきっ歯(空隙歯列)
歯と歯の間に隙間がある状態。舌に原因があったり余分な歯が埋まっていたり歯の本数が足りない場合も、原因はさまざま。 -